【新入生のみなさんへ】校長先生からのメッセージを掲載いたします。

新入生へのメッセージ

 新緑を揺らす風が心地よい季節になりましたが、新型コロナウイルスの感染はいまだに終息が見えない状況が続いており、本日予定されていた入学式は感染拡大を防止するため中止せざるを得なくなりました。入学式を楽しみにしていた新入生の皆さんには誠に申し訳ありませんが、現在の社会状況を踏まえての判断であることを理解していただきたいと思います。本日は、入学式で皆さんに伝えたいと思っていたことを「新入生へのメッセージ」という形でお伝えします。

 令和2年度の新入生401名の皆さん、入学おめでとうございます。本校の生徒・教職員を代表して心から歓迎いたします。
本校は『敬天愛人』を建学の精神として掲げ、昭和28年に創立されました。この『敬天愛人』は本校の創立者長戸路政司先生が尊敬されていた明治維新の立役者である西郷隆盛の座右の銘であり、意味するところは「常に謙虚で自己を厳しく律するとともに、広い心で自分と同じように他人をも愛することができる真のやさしさを育む」ことです。
現在世界中の人々が新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされています。皆さん自身の健康や安全を守ることが最優先ですが、この感染症の厄介なのは、感染しても症状が軽い場合や無症状の場合もあることから、誰もが無意識のうちに、家族など周囲の大切な人たちに感染させるリスクがあることです。このような状況下では、自らの行動を厳しく律するとともに、周囲の人たちへの思いやりを持って行動すること、そう、今こそ『敬天愛人』の精神を実践することが求められていると考えます。そして、皆さんにはこれから始まる学園生活においても『敬天愛人』を常に念頭に置いて、真のやさしさをもって友だちを大切して欲しいと思います。

 次に、これから学園生活を送る皆さんに期待する3つのことを述べます。
 1つめは、「自ら考え、主体的に行動する」ことです。高校においては義務教育の中学校までとは異なり、自己責任に裏打ちされた行動が一層求められます。その時、その場で、何をすべきで、何をすべきでないか、どうすることが適切なのか、などを自分で考え、判断し、主体的に行動する力を身につけてください。昨年から令和という新しい時代が始まりましたが、皆さんを取り巻く社会はこれまで以上のスピードで変化していくことでしょう。そのような時代にあっては主体的に行動することがますます重要になってきます。

 2つめは、「出会いを大切にする」ことです。学園生活で勉強に励むことはもちろんですが、勉強することだけでは得られない大切なものも学んで欲しいと思います。高校は、学区の学校へ通っていた中学校とは異なり、全く見ず知らずの人との出会いから始まります。友だちができるだろうか、と不安に思っている人もいるかもしれませんが、最初は皆同じように思っていますので心配しないでください。これから学園生活を送る中で、出会いを大切にして、生涯にわたって助け合い支え合える友だち、親友をつくってください。 また、人生の先輩としても、様々な助言をいただける先生方との絆も深めてください。

 3つめは、「高い志をもって、失敗を恐れず挑戦する」ことです。今、皆さんは新しく始まる学園生活に期待を抱き、希望に胸を膨らませていることと思います。今、皆さんは可能性に満ちあふれています。中学生の時にはできなかったことが、学びや練習を重ねることでできるようになります。知識や能力が身につくと視野が広がり、挑戦すべきことが見えてきます。もちろん、失敗もすると思いますが、高校時代の失敗は、貴重な経験として、皆さんをさらに成長させる糧となります。失敗することへの過度な不安は、視野を狭くし、可能性の扉を開きにくくします。挑戦する前から、自らの限界を決めないでください。

 結びになりますが、高校に入学することは、義務教育を終えて、人生の新たなステージに立つことを意味します。この人生の節目を迎えた皆さんの、入学式での晴れ姿を最も楽しみにされていたのは、これまで皆さんを一番近くで支え、見守り続けた保護者・ご家族の方々だと思います。残念ながら入学式は開催できませんが、改めて高校入学までの感謝の気持ちを保護者・ご家族に伝えてください。
それでは、これから始まる皆さんの本学園での高校生活が充実したものとなりますことを心から祈念してメッセージとします。



 令和2年5月8日

敬愛学園高等学校長 奥山 慎一